そんなわけでどうにか院試本番まで辿り着くわけですが、あれは今思い返しても酷い試験だった・・・受かったのがマグレに感じられるレベルです。
※東大大学院入試の日程
1日目: 英語(TOEFL-ITP)
2日目: 専門科目(化学、生命科学)
3日目: 小論文、面接
(日程は研究科・専攻によって変わります。上記は私が受験した専攻のものです。)
3. 鉄火場のアホ(前編)
Day1
最初にTOEFLの試験がありました。TOEICは何回も受けているので何となく雰囲気は分かりますが、TOEFLについては一度も受けた事が無かったためぶっつけ本番状態で挑みましたが、意外とイケました。
というのも、長らく自分はTOEICを受けてきましたが、あの業務ミーティングとか仕事の依頼みたいなビジネス英語に飽き飽きしていたというのが本音で、幾ら勉強した所でいざ論文を読むときには全然違う雰囲気の英語がずーっと書かれてるし、要は役に立っている感覚が絶望的に無かったんですね。
それに対してTOEFLは私が好きな歴史学だとか言語学だとか社会学系の議論がリーディング・リスニング共に頻出だし、専門である所の化学についてはリスニングに失敗しても問題文読めば解けますし、リーディングも論文調の学術的な解説が盛りだくさんで全く飽きなかったので、こう言ってはなんですがかなり楽しく問題を解けました。
Day2
二科目目は専門科目の化学です。化学は大問7つの内から4問選択で、その内実は
でした。試験が開始されてまず最初に2.の基礎無機化学を解答、これは簡単な結晶化学の問題や密度の計算など、無機化学を一通り勉強していれば解ける内容ですね。次に3.の基礎有機化学を解答、これもまた基礎的な反応機構が頭の中に入っていれば簡単。
ここまでは良かった。
ここから次に何を解こうかと考え始める訳です。物理化学を勉強してきたので4.の物理化学を解こうと思って手を出したら、恐ろしい事に一問しか解けないという惨憺たる展開に陥りました。これはえらいこっちゃ、どうしようと思いながら何をトチ狂ったか全く勉強してない7.の分析化学を解き始めました。これが予想外に当たりで、これまでの理科大の授業で取り扱った内容が頭の中に入っていれば七割程度は解答が可能という嬉しい誤算、ちょうど分析系の授業はかなり真面目に取り組んでいた私は、必死に授業の内容を頭の中から引っ張り出しながら何とか七割程度解答しました。
さて物理化学をどうしよう。
(この時既に残り時間20分)
手も足も出なくなった私は他の大問の問題用紙をパラパラめくり始めました。物理化学の解答を放棄して別の大問を解答することにしました。
- 基礎物理化学(という名の量子化学)
これは文章の穴埋めや軌道図を書く問題が中心で、もしかしたら行けるかも?という雰囲気がありました。 - (基礎無機化学は解答済み)
- (基礎有機化学は解答済み)
- (物理化学は爆死)
- 無機化学
一歩踏み込んだ計算問題やかなり難儀な結晶構造の問題が複数題入っており、解答は不可能ではないにしても20分では時間が足りない事が明白 - 有機化学
難問奇問の集まりと化していて、一問たりとも解けそうな問題が無い。 - (分析化学は解答済み)
という訳で自動的に残り時間20分の段階から量子化学(これも何も対策していない)の問題を解き始める事が確定しました。文章の穴埋め問題なんかは適当に思い出しながらガリガリ書き込み、ブタジエンの軌道図の問題なんかは大学で習った内容をそのまま解答用紙に無理やりぶち込んで終了しました。
落ちた・・・
これ・・・落ちたっしょ・・・
(後編へ続く)